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岡本太郎美術館へ行く [日記・雑感]

 20170429 okamoto taro museumDSCN3285.JPG昨日4月29日の土曜日は、午後に近所にある岡本太郎美術館へ行く。岡本太郎は、その絵画の作品や彫刻作品のいくつかを知っている程度で、全体像が見えなかったので、それを知り、果たして自分は岡本太郎をどう思うのか確認するのが目的だった。彼の著書の何冊かは読んでいて、その考え方には概ね共感するにも拘らず、彼の作品となるとどうしても好きになれない、本当に好きになれないのかどうか確かめてみよう、と。
 小田急線の向ヶ丘遊園南口から真直ぐに山に向かい、10分ほど歩くと、右側には日本民家園がある。そこを過ぎて少し登って行くと左側に「かわさき宙(そら)と緑の科学館」があり、ブルーとレインやD51が展示されている空間がある。そこを更に進むとメタセコイアが出迎えてくれる。緑の木々と池の奥に岡本太郎美術館がある。
 天気が荒れるということで、雲行きが怪しかったので、美術館に入る前に野外に展示してある太郎の作品を見た。予想どおりで、全く面白くない。美術館の中にある作品もこんなものなのだろうか、と少し不安になる。
 入口では券売機があるので、そこで自己申告で表示に合わせて画面を押して購入する。券には一般、団体などと表示がされたものが出てきて、それをもぎりの女性が確認するという流れになっているのだろう。
 会場に入ると、最初に迎えてくれるのは大阪万博のために制作された太陽の塔の顔の彫刻だ。少し期待感が高まる。油絵作品が目に飛び込んでくる。例の強烈な赤。赤は血の色で、岡本太郎には子供の頃に大量の血を見るという衝撃的な経験があったそうだ。しかし、どの作品も自己主張が強い割には、個性がなく、何か物足りない。この物足りなさは、変わらなかった。上野にある西洋美術館の松方コレクションにあるピカソの絵も、物足りなさを感じるのだから、それは同じこと。画面が大きいのに、ただ色を雑然と塗ってあるだけ、と言う印象を拭えない。完成度が足りない、と言う感想。岡本ファンにとってはそれがいいのだろうが、私には納得できず、要は好き好きの問題なのだろうと思う。もう一つ、色が汚い。渋谷駅に壁画があるが、あの色もどろどろしいて汚い、だから見たくない。色が綺麗かどうかと言うのは使う絵具にもよるが、それ以上に配色、画家の持っている色彩感覚だと思う。
DSCN3295.JPG 完成と言う点について少しだけ考えてみる。工業製品のように一定の完成イメージ、或いは完成予定図、設計図等があると、それ以下のものは未完成と判断することができる。芸術作品の場合には、この考え方があてはまるのか、と言うと難しい。一見、未完成に見えても、何か施すことによって今ある何かが失われてしまう、そんな時は、工業製品のような完成度に達する前に、完成としてしまうことになるだろう。
 岡本作品の場合どうかと言うと、むしろ完成かどうか見極める前の段階で終了されてしまっている印象が強いのだ。
 太郎は、頭のよい人間なので、頭でっかちの感が否めない。理論が先行してしまうのだろう。今まで人がやらなかったことを自分がやる、と言う意識が強烈である。その気持ちが強すぎて、空回りしているように感じられてならない。芸術と言うのは、他者がやっているかどうか、自分だけがやっていることなのかどうかが問題なのではなく、自分がそれを好きかどうか、それをやってないと自分でないように感じられるからやらずにはいられない、それが本質だと確信している。評価を受けるかどうか、それは自分が決めることではなく、時代と世の中が決定するものなのだ。時代にあっていれば、評価されることもあるのだが、そうでない人も多くいるのではないかと。
 岡本太郎の好いところは、芸術の良し悪しは自分自身が決めればよい、と堂々と発言している所である。海外の有名な権威が推薦しているから、とか、画壇の重鎮が評価してくれたから、と言う判断ではなく、自分自身気に入ったかどうかそれが全てであると宣言してくれたことだと思う。周りを見回しても、実際に自分の価値判断ができない人間の方が圧倒的に多いと感じている。
 また、岡本は、「すぐに評価されないこと」の意味を考えさせてくれる。後世になって判断が決まるものは、同時代人には適切に評価できない。再評価とか発掘と呼ばれるものもそうだ。尤も彼自身は若い頃から十分に評価され活躍してきたのだったが。
 犬の植木鉢(岡本太郎)DSCN3381.JPG岡本太郎の作品で私が気に入ったのは、下絵の描かれたものを強化プラスティック(FRP)で作り、色塗りしたもの、家具や食器などのデザイン、犬の形をした植木鉢などだった。FRPで作られた作品は、色の塗り残しがなく、しっかりと完成されているので、美しい。太郎がデザインしたものは、独特で美しいものが沢山ある。全てがよいのではない。犬の形をした植木鉢は、近所の子供が見に来たというが、遊びがあって面白い。他にも下絵として描かれた油絵を基にした壁画の石膏型。岡本の色彩感覚が好きではない私としては、彼の作り出した形そのものの面白さ、美しさをその石膏型に見いだす。とても魅力的である。
 彼は、創作しながら遊んでいたのだろうと思う。彼の部屋の一部が再現されているが、そこには彼の作った椅子や彫刻作品などが置かれている。なんと楽しい空間だろう。彼のこの遊びの世界は大好きである。
 もし岡本太郎に、うんざりするほどの攻撃的な顕示欲がなければ、もっと好きになれたのにと思う。パフォーマンス、著作活動、壁画の制作などを見るだけでも、魅力的な人間であることは今回再認識することができた。

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コメント 7

Enrique

人がやらないことをやる。というのは綱渡りだと思います。
絵画はキャンバスと絵の具を使って描くという事を外して成り立つのかとか,楽器を使わない器楽とか,音を出さない音楽とか。
岡本太郎に関しては有名で個性を持った作家との認識くらいで,個別の作品に興味を持った事はありません。必ずしも有名だから優れているということがないのは演奏家などを見てもわかることです。
ピカソは割と好きですが,キュビズムの時代の有名な作品よりも,青の時代のものや,ちょっとしたデッサンなどに好きなものがあります。
by Enrique (2017-05-01 06:02) 

mimimomo

おはようございます^^
芸術作品について難しいことは分からないですが
アヨアン・イゴカーさんの仰る
>自分がそれを好きかどうか、それをやってないと自分でないように感じられるからやらずにはいられない、<と言う所は共感します。
岡本太郎さんの作品はわたくしの場合(大して観ていませんが)
ちょっと強烈すぎるのがどうも好きじゃないですが「楽しい」と言う部分はあると思います。
by mimimomo (2017-05-01 06:29) 

Kanna

>うんざりするほどの攻撃的な顕示欲
これは私も過去、太郎氏の作品をほんの少し拝見しただけですぐに感じました(笑)
そして作品の色使いや個性を意識し過ぎるデザインに見疲れてしまい、ああ、この人の作品はもういいや~となりました^^;
太郎氏の作品、好きな人は本当に好きなのでしょうね^^
私はアヨアンさんと同じく、わざわざ誰もやらない作品を作ろうとするよりも、結果、そのような作品しか作れなかった、そういう作風が自分で好きだった、という作品の方が私は好きです(*^^*)
by Kanna (2017-05-02 20:51) 

アヨアン・イゴカー

@ミック様、えれあ様、Mitch様、鉄腕原子様、majyo様、かずのこ様、森田恵子様、ChinchikoPapa様、扶侶夢様、ネオ・アッキー様、Enrique様、mimimomo様、モリガメ様、コミックン様、nandenkanden様、banpeiyu様、ぜふ様、carotte様、めもてる様、kohtyan様、せとっこ様、doudesyo様、クリンクリン様、yam様、常武鉄道様
皆様nice有難うございます。
by アヨアン・イゴカー (2017-05-04 22:29) 

アヨアン・イゴカー

Enrique様
人がやっていないからやる、と考える気持ちは分かりますが、そればかりが全面に出るとやはり抵抗感があります。尤も、最先端だからと言って飛びついてばかりいる人々もいますが、彼等は知識を紹介する学者としては有能なのでしょうが、何かを深く研究する研究者にはなれないと思います。

mimimomo様
岡本太郎と詩人の宗左近との対話集『ピカソ[ピカソ講義]』を読んでいますが、宗左近は大学教授でもあったせいか、矢鱈に理論を全面に出す印象です。それに比べ、岡本太郎はもっと感性を中心にした理屈で説明、否、語っているように感じられます。この本では、私は完全に岡本太郎を支持しています。

Kanna様
自己顕示欲の強い人は、私は苦手です。どの分野に於いてもそう言えます。芸術もそうですが、仕事上でも、政治でも、経済でも、宗教でも、スポーツでも、なんでも同じことが言えると思います。
仙人のように、子供の頃には仙人になりたかったのですが、好きなことを他者との関係を敢えて意識しないで生き、好きに暮らしている、それが理想でした。その生活の中で、気儘に、好きなままに一所懸命に取り組んだ物が評価されれば、それほど嬉しいことはないです。
ところで、昨日5月2日の水曜日に、川崎市市民ミュージアムへ行ってきました。アンデルセン展、Kannaさんとyuyaさんの作品、拝見してきました。お二人とも個性が出ていて良かったと思います。
思ったよりも不便な場所にありましたが、却ってそういうほうがいいのかもしれません。他にも色々無料でみられる展示があり、実に有意義な時間を過ごすことができました。ミュージアムの前に巨大なオブジェ、と思ってみたらトーマス転炉(直径4.2メートル、高さ7.6メートル、重量60トン)が設置されていました。日本鋼管からの寄贈のようです。面白くって、何枚も写真を撮ってしましました。
by アヨアン・イゴカー (2017-05-04 22:48) 

momotaro

> もし岡本太郎に、うんざりするほどの攻撃的な顕示欲がなければ・・・
わかるような気がします。
by momotaro (2017-05-08 04:46) 

アヨアン・イゴカー

momotaro様
コメント有難うございます。
謙虚な岡本太郎、それもつまらないのですが、でもやっぱり自己主張が強すぎるのは苦手です。

by アヨアン・イゴカー (2017-05-10 23:05) 

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